ーphoto M.Tー
子どもたちに人気の漫画、「名探偵コナン」のアイテムのひとつに、「犯人追跡メガネ」がある。発明家のアガサ博士が開発し、主人公の工藤新一(コナン)に託したものだ。このメガネは、コナンのトレードマークになっているだけでなく、フレームにアンテナが付いていて、左レンズがモニターの役目を果たす。発信機から20キロ以内なら、犯人の居場所を特定できる「スグレモノ」だ。
メガネの中には、サングラスや伊達メガネなど、おしゃれやファッションを目的としたアイテムもあるが、そのほかのメガネは、視力を矯正するために存在している。ところが、メガネ業界のイノベーションに挑戦しているメガネチェーン大手のJINSは、視力矯正以外の機能を持たせたメガネの開発にも力を入れている。
集中力をコントロール
例えば、PCメガネや花粉症対策などは有名だが、最近は「集中」をキーワードにした「JINS MEME」も話題だ。3点式眼電位センサーと6軸センサーから得られる目や体の動きの情報をもとに、「ココロ」と「カラダ」の状態や、そのバランスを測定する仕組みで、アガサ博士も驚きの革新メガネを生み出し続けている。
機能性メガネの開発に力を入れるのは、「将来、目薬で視力矯正できる時代が来ても、視力矯正やファッションだけでない、さまざまな機能が搭載されたメガネを提供できれば、JINSがこの先も、必要とされる会社であり続けることができる」という考えだ。
頭が良くなるメガネがあったら大ヒット?
それでは、将来、どんなメガネが現れるのだろうか。あったら便利なメガネを考えてみた。例えば、「かけるだけで、頭が良くなるメガネ」があればヒットは間違いないだろう。また、レンズを通して外国語を翻訳したり、メガネをかけて書類を読むと、自動的に文章を要約する機能があったりすると便利になりそうだ。
さらに、ナビ付きのメガネや、スマホの画面を投影できるメガネができて、瞬きひとつで、アプリを起動できたりしても面白い。もちろん、社会問題になっている「ながらスマホ」の防止機能も必要になるかもしれないが…。
JINSはメガネ業界の「ユニクロ」と言われる。JINSの出現で、これまで高額で、ひとつ買うのにかなりの思い切りが必要だったメガネが身近なものになり、機能的で、おしゃれなメガネを気軽に買い求めることができるようになった。メガネ業界にイノベーションを起こし続けるJINSが、この先、どのような機能性メガネを生み出し、世の中を楽しくしてくれるのか、注目したい。
■コンクリエを主宰する小島清利は、週刊エコノミスト(2018年9月11日号)で、JINSの社長を取り上げた経営者インタビューの構成を担当しました。メガネの未来について語った夢のあるインタビューです。