イニエスタはジーコを超えるか

ーphoto M.Tー

サッカーのスーパースター、スペインのイニエスタが日本にやってきて、Jリーグが勢いづいている。イニエスタ選手が所属するヴィッセル神戸の試合は、ホーム・アウェーを問わず満員となり、かつてないほどの盛り上がりだ。

Jリーグに加入した世界的大物プレーヤといえば、ブラジルの英雄、ジーコがいる。ジーコは、Jリーグ誕生前の1991年、日本サッカーリーグ2部だった住友金属工業蹴球団(現・鹿島アントラーズ)のオファーを受けると、ブラジルのスポーツ担当大臣を辞め、現役復帰した。

日本サッカー育ての父

ジーコは、プレーヤーとして、指導者的な立場として、鹿島アントラーズをJリーグ屈指の強豪チームに育てた。さらに、後に日本代表監督になり、2006年のFIFAワールドカップ・ドイツ大会に日本代表を導いた。まさに、「日本サッカーの育ての父」ともいえる存在だ。

最近は、大物選手の移籍先と言えば、国を挙げてサッカー発展に力を入れる中国のスーパーリーグが主役だった。スペインの名門、バルセロナを去るイニエスタの移籍先も、中国のスーパーリーグが有力視されていた。

それでもイニエスタが日本を選んだ理由は、30億円ともいわれる年俸への魅力というよりも、日本サッカー界発展の可能性を感じたからだと言われている。イニエスタ自身も、日本サッカー発展に貢献する活動を「プロジェクト」という言葉で表現している。

プロジェクト始動

その「プロジェクト」とは、ヴィッセル神戸をトップチームに育て上げることはもちろん、日本サッカーの発展に力を尽くすことまで視野に入っているはずだ。

Jリーグは、スポーツ専門のストリーミングサービス「DAZN(ダ・ゾーン)」を展開する英パフォームグループと、2017年シーズンから、10年間で総額2100億円という巨額の放映権契約を締結。飛躍に向けた大きなチャンスをつかみ盛り上がっているところへ、神戸のイニエスタ獲得効果が加わった。

Jリーグは、イニエスタの加入を、さらなるリーグ発展のための起爆剤にしなければならない。さらに、日本サッカー界は、イニエスタが描いている「プロジェクト」をうまく機能させ、若手選手の育成や、サッカー人気のすそ野を広げる活動に力を注いでいくべきだろう。

その先に、ワールドカップ・ロシア大会でも果たせなかった「日本代表ベスト8入り」が見えてくるはずだ。

■コンクリエを主宰する小島清利は、週刊エコノミスト(2018年9月4日号)で、特集記事「Jリーグが熱い!」を担当しました。村井満Jリーグチェアマン、ヴィッセル神戸の立花陽三社長らのインタビューを通し、イニエスタ加入効果やJリーグの取り組みなどをリポートしています。

Jリーグ25年目の革新

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